むかしむかしあるところに

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
こんなフレーズで始まる昔話、いろんな教訓や人間の本質が描かれています。
私は、子供のころ、祖母にいろんなことを教えてもらいました。祖母は、文字も読めない、書けない文盲でしたが、先人から教わった言葉や教訓を歌のように読んでは、暗記して覚えていたようです。
たとえば、「親に千言(せんこと)言わりょとままよ、他人一声恐ろしい」「金のなる木は、どこにあるのと尋ねたら、辛抱する木に金がなる」などです。意味は、「親にいろいろ小言や注意をいくらたくさん言われても、なかなか素直に聞けないものだが、他人が言った一言は、胸にずきんと響いて恐ろしいほどに言い当てている。だから、優しい親が言ってくれている間に、癖や性分や悪いところを直すのだよ」ということなのです。もうひとつは、読んで字のごとし、「楽して金のなる木を手に入れることはできない、辛抱して努力する人に、金のなる木は、手に入るのだよ」ということです。いまや、株で一夜にして億万長者になる時代、楽して金のなる木は手に入るのかな?いやいや、そうではないことを、聡明な人たちはご存知ですよね。